ダイヤモンド社と共同で行なっていた「海外投資の歩き方」のサイトが終了し、過去記事が読めなくなったので、閲覧数の多いものや、時世に適ったものを随時、このブログで再掲載していくことにします。
今回は2017年12月7日公開の「マイクロクレジットは“奇跡”を起こしたのではなく 貧しい国に「当たり前の世界」を作り出した」ノーベル賞受賞経済学者の理論とは?」です(一部改変)。
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新薬の実験などに使われるRCT(ランダム化比較試験Randomized Controlled Trial)は、科学的にもっとも強力な証拠だとされている。無作為に選んだ患者グループに新薬と偽薬を与え、どちらの薬なのか患者も医師もわからないようにしたうえで(二重盲検の条件で)効果を計測する。
なぜこのような面倒なことをするかというと、偽薬でも治療効果が出る場合がしばしばあるからだ(プラセボ効果)。いったん新薬が認可されれば多額の公費が投入されるのだから、偽薬以上に高い治療効果があることが厳密に証明されなければならない。
この手法を貧困国の開発援助に持ち込んだのがフランスの女性経済学者エステル・デュフロで、これによって賛否の分かれるさまざまな貧困対策の効果を客観的に検証できるようになった。「援助か自助か」の無益なイデオロギー対立に陥りがちだった開発経済学は大きく変わり、いまでは、どのような支援が役立つかを「証拠に基づいて(エビデンス・ベースで)」議論することができるのだ。