サラリーマンの無税生活は可能ですか?

Q サラリーマンでも無税生活ができるという話を聞いたことがありますが、本当ですか?

サラリーマンは制度上、不公平な税・社会保障費から逃れられないという話を書いた後で、「無税生活」論があることを思い出しました。これは、只野範男(タダノリ)氏が『「無税」入門』(飛鳥新社)で提唱した、サラリーマンのための租税回避スキームです。

ちなみに『「無税」入門』の惹句には、「橘玲、野口悠紀雄、森永卓郎各氏の「節税術」をメッタ斬り。」とあり、私も、高名なお二人とともに名前を挙げていただく栄誉に浴しています。

只野氏はこの本で、私や野口氏が提案するサラリーマン法人化が難しすぎてなんの役に立たないと批判しています。節税スキーム自体の有効性はともかくとして、それがまったく普及していないのは事実ですから、氏の批判に根拠があることは認めざるを得ません「自由」は、望んでもいないあなたのところにやってくる

それに対して只野氏は、給与所得を事業所得の損失で相殺すればもっと簡単に所得税をゼロにできるし、実際、この方法で37年間、無税でサラリーマン生活を送ってきたと述べます。本当に、こんなことが可能なのでしょうか?

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国民年金と厚生年金

国民年金に加入したほうがいいでしょうか?にたくさんのコメント、ありがとうございます。

日本の年金制度は、構造上、サラリーマンの加入する厚生年金から、自営業者などが加入する国民年金に大規模な所得移転が行なわれています。これに関して、サラリーマンになんらかの対抗手段はないのかとの質問をしばしば受けます。

すでにコメントがなされていますが、厚生年金の加入は事業主の義務となっていて、サラリーマン(加入条件を満たすパートタイマーを含む)の意思で離脱することは認められていません。すなわち、どうしようもありません。

ほぼ唯一の対抗手段として、野口悠紀雄氏などが提唱するサラリーマン法人化があります。これについては『貧乏はお金持ち』のあとがきで触れたので、関連する部分を掲載します。

ご参考になれば。

「自由」は、望んでもいないあなたのところにやってくる

「いその」の表札がかかる古い日本家屋の前に真っ赤なランボルギーニ。法事に呼ばれた和尚が引き戸を開けると、34歳になったワカメが「二人ともすごいひさしぶりじゃない」と笑顔でお茶を運んでくる。「オトナグリコ」のテレビCMでは、25年後の磯野家が描かれている。

イクラちゃんはIT企業のCEOになり、タラちゃんはたこ焼きの屋台を引いている。カツオがなにをしているかはわからないが、野球バットを担いで法事に現れるのだから定職に就いているようには見えない。四半世紀を経て、磯野家にはサラリーマンはいなくなってしまった(ついでにいえば、30代になったカツオもワカメも独身のまま実家に暮らしている)。 続きを読む →