牛丼と革命―未来世界のマックジョブ

「お金と幸せの法則を教えましょう」で、マクドナルド化の進化した姿として、牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーを例に挙げた。

元革命家が経営するこの特異な会社の内実は、『日経ビジネス』9月20日号の「外食日本一ゼンショー 280円で仕掛ける“メガ盛り生産革命”」(飯泉梓)によって、はじめて一般に知られるようになった。すこし時間がたってしまったが、きわめて興味深い記事なので、その概略を紹介しておきたい(興味を持ったらぜひオリジナルの記事を読んでください)。 続きを読む →

生活保護と年金の逆転を解決する唯一の方法

リバタリアンの主張は、思考実験としては面白いけれど、まったく現実性がないと思われている。だからここでは、一般に解決不可能と思われている社会問題に対して、リバタリアンだけが現実的な解決案を提示できることを示したい。

解決不可能な問題とは、生活保護と年金の逆転だ。

国民年金の保険料を40年間支払うと、65歳から満額で月額6万6008円の老齢基礎年金が支給される(平成21年度)。

これに対して65歳の単身者が生活保護を受給すると、月額6万3000円~8万円(地方で低く都市部で高い)が生活扶助として支払われ、これに家賃相当分の住宅扶助を加えると、東京などでは扶助総額は月額13万円を上回る。さらに年金受給者は、医療や介護サービスの一部が自己負担になるが、生活保護なら全額公費で賄われる。

年金と生活保護の受給額がこれほどまでにちがうと、「年金を払わずに生活保護を申請した方が得だ」という意見に反論するのはむずかしい。国民年金は、「正直者がバカを見る」制度になってしまっているのだ。 続きを読む →

日本人はなぜ自殺するのか?

日本では、毎年3万人を超えるひとたちが自らの意思で死を選んでいる。これは、「市場原理主義」による改革により、日本人の安心が奪われてしまったからだと説明される。

だが国際的な自殺率の比較を見ると、日本の自殺率(10万人あたりの自殺者数)が24.4なのに対し、市場原理主義の国アメリカの自殺率は11.0、イギリスにいたっては6.4だ。この統計を素直に解釈すれば、日本をアングロサクソン型の市場原理主義国家にすれば、年間1~2万人のひとが自殺から救われることになる。市場原理と改革を声高に批判するひとたちは、これをどのように説明するのだろう。 続きを読む →