シミュレーション 20XX年ニッポン「財政破綻」

『ZAITEN』2011年2月号の特集「20XX年ニッポンの国債暴落」に掲載された「シミュレーション20XX年ニッポン「財政破綻」」を、出版社の許可を得てアップします。これはもともと、編集部の要望で、同特集の巻頭のために匿名で執筆したものです。

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金利上昇、デフレ脱却が住宅ローン破産を呼ぶ

20XX年1月10日(金)。午前6時に人形町のワンルームマンションを出て、徒歩で丸の内に向かう。出社前に近くのスターバックスに寄り、3800円のカフェモカを飲むのが私のささやかな贅沢だ。紙の新聞はずいぶん前になくなってしまったので、iPad5を開いてニュースをチェックする。

一面トップはあいかわらず「年金全共闘」で、新宿西口に3万人を超える団塊の世代の高齢者が集まり、「生きさせろ」と叫びながら警官隊と衝突した。大阪では公務員の大規模ストでゴミが回収できないため、道頓堀を巨大なドブネズミが走り回っている。スポーツニュースでは、中国の財閥が買収したFC銀座が、バルセロナを戦力外通告されたメッシに移籍のオファーを出したことが大きく報じられていた。 続きを読む →

財政破綻に備える「3つのリスク回避術」

『ZAITEN』2011年2月号の特集「20XX年ニッポンの国債暴落」に掲載された「財政破綻に備える「3つのリスク回避術」」を、出版社の許可を得てアップします。

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「日本国は破産するか」については、さまざまな議論がある。たいていのひとは、「こんなに借金(2009年末の国債発行残高は約870兆円)が大きいんだから、いずれ大変なことになるだろう」と不安に思っている。それに対して、「財政危機なんかウソっぱちだ」と威勢のいいことをいうひともいる。

どちらが正しいかを判断するには、まず現状を正確に把握しなくてはならない。 続きを読む →

釣銭の返ってこない世界と小銭のない世界〈エジプト旅行2〉

エジプトの古都ルクソールの国立博物館でのことだ。日本人のシニア夫婦が、切符売場の前で200エジプトポンド(約2,800円)札を握りしめて途方にくれていた。事情を聞いてみると、釣銭がないのでチケットを売ってくれないのだという。

博物館の入場料は1人80ポンド(2人で160ポンド)だから、釣りは40ポンド。ところが窓口の女性は、20ポンド紙幣がないので、10ポンドを加えて釣りを50ポンドにしないとチケットは売れないのだという。仕方がないので持ち合わせの小銭で両替してあげたのだけれど、考えてみればこれはずいぶんおかしな話だ。 続きを読む →