『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?』発売のお知らせ

新刊『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの? 人生という「リアルなゲーム」の攻略法』が筑摩書房から発売されます。発売日は27日(水)ですが、都内の大手書店などでは今日の夕方から並びはじめるところもあると思います(電子書籍も同日発売です)。

私としてははじめての子ども向け(小学生高学年以上から楽しんで読んでもらえると思います)の本なので、反響が楽しみです。佐々木一澄さんに素敵なイラストを描いていただいたので、書店さんで見かけたらぜひ手に取ってみてください。

橘玲『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?』

小学校高学年(10歳以上)から取り組める、8つのゲームにチャレンジしてステージを上げていこう!

「子どもの疑問」に真面目に答える

●子どもから次のようなことを聞かれたとき、あなたはちゃんと答えられますか?

疑問1 どうしたらお金持ちになれるの?

疑問2 お金はなぜ大事なの?

疑問3 なぜ勉強しなくちゃいけないの?

疑問4 AIがあるから勉強しなくていい

疑問5 Youtuberになるから勉強なんかしなくていい

疑問6 なぜギャンブルをしちゃダメなの?

疑問7 なぜ約束を守らないといけないの?

疑問8 なぜ親のいうことをきかないといけないの?

疑問9 どうすれば成功できるの?

疑問10 なぜ借金しちゃいけないの?

疑問11 なぜお手伝いをしなくちゃいけないの?

疑問12 なぜ大学にいかなくちゃいけないの?

●子どもに教えたい「人生で役に立つ7つの法則」

法則1 自分の痛みは100倍に、相手の痛みは100分の1に感じる100倍の法則

法則2 「奇跡は起きない」の法則

法則3 「君は友だち5人の平均」の法則

法則4 「わたしはわたし」の法則

法則5 トライ・アンド・エラーの法則

法則6 「世界は理不尽である」の法則

法則7 「恵まれていないほうが人生は面白い」の法則

 

トランプ勝利は「多様性という正義」へのバックラッシュ 週刊プレイボーイ連載(623)

大接戦が予想されたアメリカ大統領選挙は、激戦州を制したドナルド・トランプが投票日の翌未明に早々と勝利宣言しました。支持者による連邦議会議事堂占拠の“扇動”や、4つの起訴と有罪判決もものともせず、ほぼ完勝という結果になったのはなぜでしょうか。

ひとつは、新型コロナの感染が拡大した2020年を除けば、トランプ時代はアメリカ経済が好調で、物価も安定していたからでしょう。リベラル派が言い立てたような「世界の破滅」は起きず、未知の感染症がなければトランプ再選は確実視されていたのですから、それが4年遅れで実現したとしても驚くようなことではないかもしれません。

もうひとつは、黒人男性が白人の警官に窒息死させられた事件をきっかけに20年5月に始まった「ブラック・ライヴズ・マター」の運動です。これをきっかけにアメリカ社会における「構造的人種差別」があらためて注目され、一部の活動家は「白人は生まれたときからレイシスト」と唱えました。

その後、保守派のインフルエンサーが主催するトランプ支持のパーティに、高学歴の白人の若者が参加するようになりました。もともとリベラルだった彼ら/彼女たちは、いきなり「人種差別主義者」のレッテルを貼られたことに驚愕し、トランプやイーロン・マスクが唱える反ウォーク・反ポリコレに共感するようになったのです。

しかし、それにも増して決定的なのは「移民問題」でしょう。トランプはバイデン政権で不法移民が急増し、治安が悪化して労働者の職が奪われたと演説し、「犯罪者を追い出す」と約束して支持者を熱狂させました。

ヒトには無意識のうちに「俺たち」と「奴ら」を分ける強い性向があり、異なる属性をもつ者たちを「敵」として警戒します。民主党はトランプをジェンダー差別や人種差別で攻撃しましたが、トランプは不法移民をより大きな脅威に仕立てることで、リベラルの選挙戦略を無効化することに成功したのです。

保守かリベラルかは、パーソナリティの主要な要素のひとつである「経験への開放性」に影響されるといわれます。留学や海外旅行、外国への移住など新しい経験に魅力を感じるひともいれば、生まれ育った町で家族や友人に囲まれて暮らすことに安心感を覚えるひともいます。

パーソナリティは正規分布する(ベルカーブになる)らされ、経験への開放性が高いリベラルなひとたちと同様に、新しい経験を不安に感じる保守的なひとたちも、どんな社会にもおよそ半分います。それにもかかわらず、リベラル(左派)はこのことを無視して、「多様性という正義」を実現しようとしてきました。

トランプは「白人至上主義」と批判されますが、今回の選挙ではヒスパニックや黒人のあいだでも支持が拡大しました。トランスジェンダーなど性的少数者の権利を擁護することが、伝統的な家族の価値を破壊すると恐れる層が、「多様性の象徴」であるカマラ・ハリスを拒否したことが考えられます。

そのように考えれば、トランプの勝利も、ヨーロッパを席捲する「極右」政党も、極端なリベラル化へのバックラッシュなのかもしれません。

参考:エリック・カウフマン『WHITESHIFT[ホワイトシフト]白人がマイノリティになる日』臼井美子訳/亜紀書房

『週刊プレイボーイ』2024年11月18日発売号 禁・無断転載

リベラルの理想世界で最底辺に突き落とされる「やってもできない」ひとたち

ダイヤモンド社と共同で行なっていた「海外投資の歩き方」のサイトが終了し、過去記事が読めなくなったので、閲覧数の多いものや、時世に適ったものを随時、このブログで再掲載していくことにします。

今回は2019年1月17日公開の「アメリカのもっとも著名なリベラル知識人が唱える 「テクノロジーのスーパーノバ」時代に対する答えがバカげている」です(一部改変)。

Shutterstock AI Generator

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トーマス・フリードマンはアメリカのジャーナリストで、オックスフォード大学で中東学の修士号を取得したのち、UPI通信やニューヨーク・タイムズの支局員としてベイルートに派遣され、イスラエルのレバノン侵攻やパレスチナ人の抵抗運動インティファーダを取材してピューリッツァー賞を受賞した。2000年以降は市場のグローバル化に関心を移し、日本でも『レクサスとオリーブの木 グローバリゼーションの正体』( 東江一紀訳/草思社)や『フラット化する世界 経済の大転換と人間の未来 』(伏見威蕃訳/日本経済新聞出版社)がベストセラーになった。20年以上にわたってニューヨーク・タイムズのコラムニストとして活躍しており、世界でもっとも著名な言論人の一人だ。

フリードマンの最新刊『遅刻してくれて、ありがとう 常識が通じない時代の生き方』(伏見威蕃訳/日本経済新聞出版社)の原書の副題は“An Optimist’s Guide to Thriving in the Age of Accelerations Version 2.0”(加速する時代2.0で繁栄する楽観主義者のガイド)となっている。

アメリカのリベラル派の代表的な論客であるフリードマンは、トランプ大統領を生み出した背景に雇用環境の急速な変化があるとして、いつものような精力的な取材によってその現状と処方箋を探っていく。その結果、どのような結論に至ったのかを見てみたい。 続きを読む →