ビッグデータはときに不都合な事実を突きつけることがあります。
アメリカの出会い系サイト「OKキューピッド」のサイトには年間1000万人が出会いを求めて集まってきて、1日3万組がはじめてのデートをし、3000組がつき合いを継続させ、200組が結婚します。そんな彼らが提供した膨大なデータを(プライバシーに配慮したうえで)解析すると、男と女のむずかしい関係が明らかになります。
女性にとって魅力的な男性の年齢は、20代のときは自分よりすこし年上で、30代からはすこし年下になりますが、50歳の女性の好みは46歳の男性でその差はわずかです。女性は、自分と同じような経験をしてきたパートナーを求めているのです。
それに対して男性にとっての魅力的な女性はというと、(予想はつくものの)結果はかなり衝撃的です。
20歳の男性は、20歳の女性とつき合いたいと思っています。そして30歳の男性も好みは20歳の女性、40歳の男性は21歳の女性、50歳の男性も求めているのは22歳の女性です。男性は、女性に「若さ」以外の価値はないと思っているかのようです。
もちろんこれはただの願望で、この世にハーレムがないことくらい男性にもわかっています。
そこで男性会員が実際にメッセージを送った女性の平均年齢を見ると、30歳の男性は25歳の女性に、40歳の男性は30歳の女性に、50歳の男性は40歳の女性にアプローチしています。実際に行動するときはすこし理性的になるようですが、それでも10歳若い女性でないと満足できないのです。魅力的な年齢が男女で大きく異なることが、出会いを難しくしています。
アメリカ社会の大きな困難である人種についてもデータは正直です。
男性がどの人種の女性を好むかを見ると、アジア系、ラテン系、白人の男性の多くは自分と同じ人種の女性とつき合いたいと思っています。特徴的なのは黒人男性で、アジア系やラテン系の女性よりも黒人女性を低く評価しているのです。
一方、女性がどの人種の男性を好むかを調べると、黒人の女性は黒人の男性とつき合いたいと思っています。この結果は、アメリカにおける黒人女性の苦境を示しています。彼女たちは黒人のカレシを探していますが、黒人の男性は別の人種の女性に興味を持っています。さらに人種別の魅力度では、アジア系、ラテン系、白人の男性にとって、黒人女性の魅力は平均を25%も下回っています。黒人の女性が満足のいくパートナーを見つけるのはものすごく大変なのです。
しかしこれは、日本人をはじめアジア系男性にとっても他人事ではありません。これも予想がつくでしょうが、アジア系の女性は、自分と同じ人種よりも白人男性とつき合いたいと思っているからです。
ビッグデータが明らかにしたのは、アジア系の女性はすべての人種から満遍なく好かれるものの、アジア系の男性は好感度が低く、黒人、ラテン系、白人の女性からは相手にされないというきびしい現実です。アメリカのような多民族社会では、日本人の女の子はモテるけれど、男の子はそうでもない、ということのようです。
参考:クリスチャン・ラダー『ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実』
『週刊プレイボーイ』2017年7月3日発売号 禁・無断転載