本日発売の新刊『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの? 人生という「リアルなゲーム」の攻略法』(筑摩書房)のあとがきを出版社の許可を得て掲載します。書店さんで見かけたらぜひ手に取ってみてください(電子書籍も同日発売です)。
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私は10年くらい前からSNSをやっているのですが、あるとき、「ランドセルを背負った女の子が、電車で橘さんの本を読んでいました」と報告してくれたひとがいて、びっくりしました。
それからしばらくして、「小学生の息子に橘さんの本を読ませたら、親子で話ができるようになりました」というひとが現われましたが、「早熟な子どももいるんだな」と思っていました。
私はこれまで、小学生向けの本を書いたことがないからです。
ところが最近になって、私立中学の国語の長文の問題に私の作品から出題されることが増えてきました。
中学受験の塾の国語の教材にも使われていて、いまでは多くの小学生が私の文章を読んでくれているようです。
そこで、小学生でも読めるような本を書いてみようと思いました。
本書をひと言でまとめるなら、
人間は合理的ではないからこそ、合理性が大きな武器になる
になるでしょう。
私はこのことに30代半ばになってようやく気づきましたが、それを小学生から知っていたらどうなっていたのか、とても興味があります。
それが、これからの未来を担う多くの子どもたちに、この本を読んでもらいたい理由です。
あと、最近は「金融教育」が話題ですが、ほんとうに大事なのはここで書いたようなことで、小学生に株の話をしてもなんの意味もないでしょう。
「子どもにこんなことを教えると、冷たい人間になるのではないか」と心配する親もいるかもしれません。
でも、そんなことはありません。ロボットのような人生になんの意味もないことくらい、子どもだってわかります。
それに、愛ややさしさは親であるあなたが態度で示すべきことで、本を読んで子どもに教えるようなものではないのです。
2024年10月 橘 玲