経済的独立を達成し、 嫌な仕事はさっさとやめよう!

出版社の許可を得て、11月30日発売の新刊『マンガ 投資のことはなにもわかりませんが、 素人でも株でお金持ちになる方法を教えてください』の「はじめに 経済的独立を達成し、 嫌な仕事はさっさとやめよう!」を掲載します。書店でこの2人を見かけたら、その成長を活躍をぜひ読んでみてください。

******************************************************************************************

FIRE(ファイアー)はFinancial Independence and Retire Early(経済的独立を達成し、アーリーリタイアする)の略で、2000年前後に成人したミレニアル世代や、それにつづくZ世代など、アメリカの若者たちのあいだでいま大きなムーブメントになっています。新型コロナ禍で経済的な不安が高まったこともあり、日本でも注目が集まりました。

FIREを目指す若者たちは、徹底したミニマリストの暮らしをし、パートナーと共働きで収入の2~3割、あるいはそれ以上を貯蓄や投資に回して、効率的に富(金融資本)を蓄積しようとしています。ひと足先にFIREを達成したひとがブログでノウハウを提供し、SNSでお互いに励まし合ってもいるようです。

「経済的独立」というのは、1990年代にアメリカで唱えられた「自由」についての新しい考え方です。自由はそれまでずっとこころの問題だとされてきましたが、じつはもっと大切なことがあります。それは経済、すなわちお金です。

あなたは自由について高邁(こうまい)な理念をもっているかもしれませんが、生活費を得ている組織の上司から意に添わない(場合によっては道徳や法に反する)仕事を命じられたとき、それを敢然(かんぜん)と拒否できるでしょうか。ここで躊躇(ちゅうちょ)するとしたら、「クビになったら生きていけない」と不安に駆られるからでしょう。あなたの(高邁な)自由は、お金によって拘束されているのです。

人生を自由に生きるためには経済的な土台がなくてはならない。――この身も蓋もない真実を突きつけたところに、「経済的独立」の衝撃がありました。それが20年以上の時を経て、いまの若者たちに再発見されたのです。

アーリーリタイアメント(早期退職)も同じく、90年代にブームになりました。アメリカでは退職してから夫婦で旅行を楽しむのが理想とされていましたが、70歳や80歳を過ぎてからだと行けるところもかぎられてくるし、パートナーが病気になったり、死別しているかもしれません。だったら50代、できれば40代で引退して好きなことだけして暮らすというのはたしかに魅力的です。

ところがこうしてアーリーリタイアした人の多く(ウォール街のトレーダーなど)は、数年後にまた仕事に戻ってきました。なぜなら、毎日が退屈すぎて張り合いがないから。

ヒトは社会的な動物なので、他者からの承認(感謝や称賛)を得たときにいちばん幸福を感じます。おしゃれな店でのデートや豪華な結婚式で「いいね!」をもらう“リア充”もいるでしょうが、現代社会でもっとも大きな承認を得られるのは仕事での達成感です。

アーリーリタイアを目指すのは、いまの仕事が「好き」ではないからでしょう。しかしひとたび「経済的独立」を達成すれば、上司のパワハラやセクハラに耐えて会社にしがみつき、嫌いな仕事を歯を食いしばって続ける必要などありません。「好きを仕事に」して、そこでたくさんの評判を獲得できるなら、アーリーリタイアの必要などないのです。

金融市場や株式投資について学ぶのは、お金持ちになってゴージャスな暮らしをするためだけではありません(もちろんそれを否定はしませんが)。会社(給料)にも、家庭(配偶者)にも、国家(年金)にも依存せずに生きていけるだけの富を獲得するほんとうの目的は、「自由」を手に入れることなのです。

「人生100年」の時代には、「好きな仕事をずっと続け、自分らしく生きる」ことが理想のライフスタイルになっていくでしょう。だとすればFIREとは、「経済的独立を達成し、嫌な仕事はさっさとやめよう!」という運動です。

あなたもそのための第一歩を、ここから踏み出してください。