誰もが逃れられない「心理的偏向」のリスト

今週は『週刊プレイボーイ』の連載が正月進行で休みなので、代わりにアメリカの心理学者、生物学者デイヴィッド・リヴィングストン・スミスの『うそつきの進化論』から、人類に普遍的(ヒューマン・ユニヴァーサルズ)な心理的偏向のリストを紹介したい。こうした偏向はすべてのひとが(もちろん私も)持っていて、世の中で起きるさまざまな不愉快な出来事の多くを説明するだろう。自戒したい。

  1. 自己奉仕的偏向 成功したことを自分の功績と考えようとし、失敗した場合は外部に原因を求めて非難する傾向。
  2. 自己過大視的偏向 集団で力を合わせて得た結果に対して、自分の貢献度を不相応なほど大きく考える傾向。
  3. 自己中心的傾向 過去の出来事について、自分の果たした役割を過大に評価する傾向。
  4. 総意の誤認 大多数の人が自分と同じ意見や価値観を持っていると信じ込む傾向。
  5. 独自性の思い込み 自分は他人と違う特殊な存在だと思い込む傾向。
  6. 支配力への幻想 自分が外部の出来事に対して及ぼす支配力の強さを過大に評価する傾向。
  7. 結果論的偏向 何かが起きてしまったあとで、その出来事が起きる可能性を実際よりも高かったように考えてしまう傾向。
  8. 独善的偏向 自分がほかの人びとよりも高い道徳的基準を持ち、言行一致を実践していると見なす傾向。
  9. 内集団・外集団の区別による偏向 自分が所属する集団(内集団)のメンバーを自分が所属していない集団(外集団)のメンバーよりも肯定的に見る傾向。外集団のメンバーにはあまり価値を認めず、不運に見舞われるのも本人に責任があるように考え、成功した場合は運がよかっただけと考える。内集団のメンバーよりも外集団のメンバーを型にはめて見てしまう。
  10. 基準値に対する誤認 ある出来事の可能性を推測するとき、対象とする集団の性格やその出来事の一般的な確率をあまり考えない傾向。
  11. 誤った結合 それぞれ独立して起きる二つの出来事を結びつけて考えてしまう傾向。